2020年10月15日 更新

「ため息」について考えてみました。

先日の「患者様アンケート」で様々な貴重なご意見をいただきました。ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。

その中に、「先生が診察室で何度もため息をつかれていて、泣きたくなった」とのご意見がありました。

「診察室で何度もため息」、確かに言われてみて思いあたる節はあります。最近、無意識に「ため息」をつくことが増えて来た気がします。(そもそも「ため息」は無意識でつくもの?意識的にすれば「深呼吸」?)スタッフからも、「先生、最近、ため息が多くなりましたね」と言われたところです。

そこで、「ため息」について少し調べてみました。

辞書によると、「ため息」とは「気苦労や失望などから、思わず出る大きな吐息」とあります。

なるほど、確かに、ため息をつく姿はいかにも疲れた感じだし、そばで「はぁ~」とため息をつかれると、決していい気持ちがしないのは私もよく分かります。その方にはとても嫌な思いをさせてしまい、本当に申し訳ありません。

でも、よく調べてみると、「ため息」には「自律神経のバランスを整える働きがあり、ストレスの多い現代社会においてはとても大切な役割を担っている」ともありました。つまり、「ため息」はネガティブな面ばかりではなく、ポジティブな面も持っているようです。確かに「呼吸」は「自律神経(交感神経、副交感神経)」と密接に関係しているので、当然と言えば当然です。

人は色んな事に対して、色んな方法で無意識に、一部は意識的に「バランス」をとって生きていると思います。「バランス」を保つことは人にとってとても大切なことで、一旦その「バランス」が崩れてしまうと、元に戻すのはなかなか大変です。「バランス」を保つための「方法」は人それぞれで本当に様々だと思いますが、その「方法」の一つに「ため息」があるのだと思います。

「ため息」が増えているという事は「バランス」が崩れかかっているサインと考えられます。つまり、「ため息」自体はネガティブな事、悪い事ではなくても、減らしたり、無くすようにして行くことはとても大切なことと言えます。

診察室での「ため息」は今後、厳に慎みたいと思っていますが、もしまたそれに「遭遇」された方は、決して自分に対して「ネガティブ」な「ため息」ではなくて、「バランスを保つための無意識の呼吸法をしてるんだぁ。バランス取ってる取ってる。」と思っていただければ幸いです。