卵子凍結
卵子凍結とは
卵子凍結とは、将来の妊娠・体外受精に備えて、若いうちに自身の質の良い卵子を採取し、凍結保存しておくことです。
凍結保存することで、若いときの生殖能力を保ったまま長期間の保存が可能になります。
<医学的適応の卵子凍結>
悪性腫瘍(癌)などの治療によって、その後に卵巣機能の低下が予想される場合
<社会的適応の卵子凍結>
加齢などの要因で卵巣機能の低下をきたすことが予想される場合
日本産婦人科学会の動画はこちら↓
https://www.jsog.or.jp/medical/865/
当院が保管先として提携している「Grace Bank」では、
無料の個別相談を行なっています。ぜひ、ご活用ください。
卵子凍結における妊娠率
卵子凍結によって保存した卵子を使って妊娠・出産するためには、卵子と精子とを身体の外で受精する体外受精が必須となっています。
卵子は凍結しているので、融解(溶かす)必要があります。融解の過程で5~20%の割合で卵子が破損してしまうこともあります。また、融解後、精子と受精すると受精卵(胚)になりますが、その全てが着床できるとは限りません。
これらを踏まえ、卵子凍結での妊娠率を見てみましょう。
◆凍結卵子を融解した時の卵子生存の確率
・融解後の卵子生存の確率・・・80~95%
・その後、精子を注入した場合の受精率・・・60~80%
◆未受精卵融解後に、卵子が生存、受精し、質が良好な受精卵が
確保できた場合に、卵子10個あたりで妊娠できる確率
・30歳以下・・・80%程度
・31~34歳・・・75%程度
・35~37歳・・・53%程度
・38~40歳・・・30%程度
・41歳以上・・・20%以下
卵子の生存率とその後の着床率を考えると、なるべく若い年齢で卵子凍結を行い、10個以上、できれば20個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいということがわかります。
卵子凍結の流れ
-
事前準備
- まずは、当院作成の資料(卵子凍結を希望されている方へ)を読んでいただき、その後「初診前説明会」(Web開催、要予約)に参加してください。
- 初診(月経周期に関わらずいつの時期でも可)
- 担当医が「卵子凍結のスケジュール」を作成+事前検査(ピル処方)
「卵子凍結のスケジュール」に従って通院(7-8回程度)
-
治療前周期
ピル内服(10-14日間)
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治療周期
月経
2 - 3 日目・超音波検査
・ホルモン測定
・自己注射開始月経
7 - 8 日目・超音波検査 月経
11-12日目・ホルモン測定 月経
13-15日目・採卵
・卵子凍結
~ 採卵当日の流れ ~
- 前日夜から絶飲食で、朝、ご来院ください。
- 採卵は手術室で実施します。通常は静脈麻酔下で行い、所用時間は約10分程度です。
- 回復室で2時間程度お休みいただき、問題なければ、採卵結果(採取した卵子の個数や状態)の説明を受けて、帰宅となります。帰宅後は自宅で安静にお過ごしください。
保管方法について
採取した卵子の保管は、当院又は卵子凍結保管サービス「Grace Bank」で行います。どちらかをお選びいただきます。以下に、卵子凍結保管サービス「Grace Bank」について紹介します。
卵子凍結保管サービス「Grace Bank」
(HP:https://gracebank.jp/about/)
凍結卵子は長期保管が見込まれるため、万が一、医師の急病などで当院が閉鎖してしまった場合でも、グレイスバンクに保管しておくことで、慌てて転院先をさがす必要がありません。また、転居に伴い当院への通院が難しい場合でも、グレイスバンクと提携している全国のクリニックへの凍結卵子の移送が可能です。
◎GraceBankの利用は事前に会員登録が必要です。
こちらから登録をお願いします。
Grace Bankは、さい帯血保管を行うステムセル研究所にあり、ステムセルの保管システムは24年間無事故を誇り、最新のモニタリング機器と厳重なセキュリティ設備で患者様の大切な卵子をお預かりします。
将来、凍結した卵子を使って体外受精をする際は全国にある提携クリニックにて凍結卵子を利用した不妊治療を受けることができます。
- 液体窒素の自動供給システム
- 24時間対応の監視・記録・緊急時体制突然の地震や津波にも強いエリア
- 最も高いレベルの建築物耐震基準クリア
- ALSOK社による24時間警備体制
卵子凍結のリスク・副作用
<排卵誘発剤による副作用>
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といい、腹痛や腹部の膨満感の症状があげられます。当院では、過度な誘発は行わないため、卵巣の腫れや出血といった副作用の症状はあまり起こりません。ただし、排卵誘発剤の効果には個人差があるため、卵巣が腫れてしまう方もまれにいらっしゃいます。その場合は、数日間の自宅安静が必要となります。入院を要するような重度の副作用が発生するケースは全体の1%以下です。
<採卵による副作用>
下腹部の痛みや、出血などの症状が出る場合があります。採卵は基本的には安全な手技ですが、経腟超音波ガイド下にて卵巣を穿刺するため、極めてまれに腸や膀胱などの臓器損傷を起こす可能性が報告されています。また、卵巣表面からの出血、卵巣内での感染が起こる可能性がありますが、全体の0.3%程度です。このような場合には、数日間の安静入院が必要となる場合があります。
卵子凍結に係る費用
項目 | 治療費(税込) |
---|---|
○初診 |
2,900円 |
○再診 |
800円 |
○採卵 |
基本料:110,000円 個数加算:2,200円×採卵個数 (1個目~、25個以上同一料金) |
○凍結 |
基本料:77,000円 個数加算:5,500円×凍結個数 (2個目~、12個以上同一料金) |
○超音波検査 |
5,300円 |
○血液検査 |
10,000円~20,000円 |
○排卵誘発 |
40,000円~120,000円 |
○麻酔(静脈、局所) | 「採卵」費用に含みます |
※上記の費用はあくまでも目安です。個人によって料金の変動があります。
合計7回の通院で、
10個凍結した場合:約35万円
凍結した卵子を使用する際の費用は、こちら↓
よくあるご質問
- Q. 卵子凍結をするために何回くらい通院が必要ですか?
- 初診(事前検査、スケジュール作成)、排卵誘発開始前、開始後(ホルモン検査と超音波検査、3-4回)、採卵、採卵後の、7-8回のご来院となります。くわしくは「卵子凍結の流れ」をご覧ください。
- Q. 仕事をしながらでも卵子凍結可能ですか?
- 卵子凍結をされている方の多くが仕事をされながら実施されております。詳細のスケジュールは患者さんによって異なりますので、一度当院へご相談ください。
- Q. 卵子をいくつ凍結しておく必要がありますか?
- 10個以上~できれば20個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいですが、ご不安・ご質問などまずはお気軽にご相談ください。
- Q. 現在のパートナーとの妊娠を将来的に考えている場合は?
- 現在のパートナーとのお子様を将来ご希望の方は、卵子凍結ではなく受精卵凍結の方が妊娠の可能性が高くなります。一度当院へご相談ください。